vol.2 誰でも簡単にできる・スウェーデン刺繍

スウェーデン刺繍の大きな特徴は「下絵いらず」で「簡単」に「素敵な模様が描ける」ところ。布目を針ですくいながら右から左へ、下から上へ、規則正しく針を動かしていく技法なので、小さなお子さんでもちょっと不器用な人でも、完成度の高い作品がつくれます。


 

スウェーデン刺繍で使う道具は、専用につくられた「スウェーデンクロス」と「スウェーデン刺繍針」。クロスは目を拾いやすくするために「浮き織り」という技法で織られています。また、先の曲がった独特の形状をした針も、布目をすくいやすいように考案されました。
(#クロスと針のph)

「簡単」なだけでなく、さくさくと「短時間」でかわいい模様ができ上がるのも、スウェーデン刺繍の魅力。それはひと針ずつ糸を引き抜かず、針の長さ分の目を拾ってから、一気に糸を引き抜くからです。
(#針が布目をひろっているph)


独特の道具と技法で、立体感のある織りもののような模様が描けるスウェーデン刺繍。刺繍好きの方はもちろん、ものづくり初心者の方にもおすすめの刺繍です。北欧ちっくな模様とカラーでつくったテーブルクロスやコースターで、暮らしを彩ってみませんか?
(#イメージph)

 

作品の魅力:

過去の作品写真4〜5枚(1行コメント)

 

スウェーデン刺繍の道具 : 道具とサンプラーの写真

 


スウェーデン刺繍の意外なはじまり

北欧デザインや刺繍の人気とともに注目を集めているスウェーデン刺繍ですが、実は日本発祥だということをご存知ですか?  考案したのは刺繍作家の久家道子さんです。

久家さんは戦後間もない1951年、スウェーデン人の宣教師から料理や手工芸を学びました。暮らしの中に自然と手仕事が根づいているスウェーデン文化を知り、感銘を受けます。1年という短い期間ではありましたが、宣教師の教えは深く久家先生の胸に刻み込まれました。

その後、チリ公使一家の家庭教師兼随員として南米チリで3年間を過ごします。そこで出会ったのが、布の織り目に糸をくぐらせながら上がったり下がったりして刺していく独特の刺繍でした。誰にでも簡単にできそうなその技法に魅力を感じた久家さんは、帰国してすぐ、刺繍に適した布の織り方を研究。専用のクロスをつくりだします。

そして1956年、自らが考案したクロスと刺繍の技法を発表。それは瞬く間に日本中に広がり、大ブームを巻き起こしました。人気はどんどん高まり1963年、日本ヴォーグ社より教本が出版されることになりました。それまで特別な名前をつけていなかった久家流の刺繍に名称が必要になったのです。久家さんの頭にぱっと浮かんだのは、宣教師から学んだスウェーデンの手仕事文化でした。

「スウェーデンの生活工芸のように、人々の暮らしに自然に取り入れられるような刺繍にしたい」

そんな思いを込めて、「スウェーデン刺繍」と名づけました。その名もずばり『スエーデン刺繍』というタイトルで出版された教本は、100万部を超えるミリオンセラーになり、小中学校の家庭科の教材としても使用されました。


スウェーデン刺繍のこれから 

現在、久家さんの技術を継承し、スウェーデン刺繍の普及に力を注いでいるのは五十嵐富美さんです。

「私は当時のブームを知りませんが、ワークショップを開くと『30年ぶりだわ』と若かりし頃を思い出して目を輝かせている方が大勢いらっしゃいます。また、若い世代の生徒さんの中には『北欧旅行に行った時、スウェーデン刺繍を探したんだけど見つかりませんでした』と残念そうに報告してくださる方も(笑)。実はスウェーデン刺繍は久家先生が考案した、日本発祥の刺繍なんですよと伝えると、みなさん驚かれます」

2016年、五十嵐先生著・久家先生監修による『スウェーデン刺繍の図案帖』が発売されました。日本発祥だけど、どこか北欧を感じさせる素敵なデザインばかり。スウェーデン刺繍には、北欧のデザイン・色調に学びたいという思いや、手仕事文化への尊敬の気持ちが込められているのです。

文 / 塚本佳子   2017/4/-